ずっとあなたが好きでした
もし、百合子さんと俊也が何の関係もなかったら、私、俊也を傷つけてしまう。

俊也は私なんかにこんなに優しくしてくれるのに…。

何て言ったら良いか分からない。

別れたい理由はたくさんあるけれど、どれを俊也に言ったら良いのか、どれだったら俊也が納得してくれるのか分からなかった。

俊也と会った。

「香、別れたい?」

「別れたい。」

「何が嫌?何が不満?」

「嫌な所もないし、不満なんてないよ。」

「何もないのに、別れたい訳ないだろ?」

「…。」

「香はさ、俺が想ってる程、俺の事を想ってねーんだよ!だから、簡単に何度も別れたいって言うんだ。俺は本当にお前の事が好きだから、簡単に別れたくない。けど、お前の事を大事に想ってるから、大事なお前が望んでるなら、幸せになって欲しいと思うから別れるんだ。お前は俺の為を想って別れるって言ってる訳じゃないだろ?お前は勝手だよ。自分が苦しいからって、辛いからって、自分の事しか考えてねーんだ。俺の気持ち、考えた事ある?」

いつも優しい俊也が私に物凄く怒り始めた。

俊也は泣きそうだった。

私は、俊也の笑顔が大好きだった。

俊也の悲しそうな顔を見て、俊也にこんな顔をさせてるのは自分なんだと思うと辛かった。

そして、図星だった。

私は自分が苦しくて、辛いから逃げてただけだった。

でも…

百合子さんは?

あの人は何?

俊也、あの人の事好きなんじゃないの?

「俊也、私、いたんだよ。俊也の誕生日の日、私、保善の校門にいたよ?」

「俺を待ってたの?」

「うん。俊也、たくさん誕プレ貰ってた。」

「見てたの?」

「うん。百合子さんだっけ?百合子さんから貰った時、俊也凄く嬉しそうだったね。綺麗な人だった。」

私は涙が零れた。

「何、泣いてんだよ?百合子は俺の従姉妹のねぇちゃんだよ。保善の近くで働いてるんだ。だから、たまたま来たんだよ。」

「従姉妹?」

「そうだよ。百合子に香を紹介しようと思ってたんだ。香に会いたがってたしな。」

「本当?」

「何?百合子が原因?」

「原因っていうか、俊也と良い感じだったから…。」

「百合子とは仲良いけど、従姉妹だしな…。」

「…。」

「てか、やめてくれよ。従姉妹を勘違いされて、別れたなんて言ったら、田川に笑われる。」

「従姉妹…。」

「そう。百合子は従姉妹!」
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