【B】君の魔法
「では、
雪路さんのデスクは
あちらね」
促された場所に
着席するものの
次の指示はない。
他の秘書室の人たちは
優雅な足取りで
着々と仕事をこなしてる。
「心さん、
そのファイルと一緒に
会長の部屋へ」
「はい。柳さん。
確か来客予定は
11:00でしたね」
「えぇ。
昼食も兼ねて接待予定の
日本懐石予約してるわ。
最終確認もしておいて」
時折、
交わされる会話。
その中に
入りたいと思うのに
完全に指示がない。