【B】君の魔法




そんな彼女を
見つめながら
運転席に滑り込むと
駐車場から
愛車を走らせた。



「何処に行きたい?」


運転しながら
彼女に問いかける。



「……落ちつける場所……」

「なら、
 君の家まで送るよ」





そう切り替えした
俺に彼女は首を振った。




「家は嫌っ。

 自宅は嫌なの……。
 ご迷惑でなければ
 貴方の家に……」




小さく
消えてしまいそうな声で
紡ぐ尊子。



「クスっ。
 構わないよ。

 君の言うとおりに……」




ウィンカーを出して
方向転換すると、
彼女を乗せて、
自宅へと急ぐ。

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