【B】君の魔法



「おはよう。

 雪路さん、
 朝から兄が迷惑かけなかった?」




拍子抜けするほどに
笑みを浮かべて
話しかけてくる彼女。




「少し恥ずかしかったわ。
 いきなり抱き上げて
 階段を上りだすんだもの」

「お兄ちゃん、
 そんなことしたの?
 
 ちょっとは……
 欲求満たすだけじゃなくて
 相手の気持ちも考えて上げなよ。

 ったく、デリカシーないのは
 昔からの病気みたいなものだから」




彼女にかかると、
祐太の評価は
かわいそうなくらいに
ボロボロで。



祐太に促されるままに、
助手席に乗り込んで、
シートベルトを閉める。



後部座席には……
陽菜と能美さん。




少し前までには
ありえないメンバーで
乗り込んでる車。


< 206 / 339 >

この作品をシェア

pagetop