【兄と義妹】時空を切り出す光化学
時を超え切り出された空間

暑い……。なんでお盆は、こんなに暑いんだ……。


いっそ冬になればいいのに。

いや、年中寒くなるのも嫌だ。とすると、年中春に……。でも、花粉が……。なら秋ならどうだ? 空気が乾燥して、火事が増えるのもなぁ。



「けんにぃ、考え事……?」

「あぁ。考えた結果、日本は俺には住みにくい国のようだ。俺のような大物を受け入れるだけの器が、この国にはなかったみたいなんだ」


「ふーん……」

「ふーんって、おまっ、なんて格好してんだ!?」


今まで寝転んでいたソファから上体を起こし、義妹、楓の方へ視線を移すと、そこには発育の乏しい身体をスポブラが包み、ショートパンツを履いただけの格好をした楓がいた。


「暑い……」


無表情にそれだけ呟くと、グラスに注いだ冷えた麦茶を、小さな口へと流し込んで行く。

確かに楓は暑いのが嫌いだ。それこそ俺以上に。夏前には必ず髪を、肩より少し上にまでするほどだ。

おしゃれやファッションに興味がない、というのも悲しい一因か。


「あ、けんにぃ。部屋の掃除手伝って」

「そういうのは、嫌がるもんじゃないか?」


「けんにぃだからいい」


そもそも、こいつには女としての自覚がないんじゃなかろうか?

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