王子様の溺愛カメラマン
そうこうしている内に、私の中には寂しさよりも不安が渦巻くようになった。


私やモデルの事なんてどうでもよくなったんじゃないか、とか。


このままもう会えなくなったらどうしよう、とか。



ミキには『それは無い。絶対に大丈夫だよ』って言われた。


だけど分かんないよ。


日向くんはつかめない、風のような人だから。


本能のままに自由奔放に、そして妥協せずに生きている人だから。


私よりも自分が追い求めていたモデルや対象が見付かれば


きっと躊躇することなくそっちを選ぶんじゃないかな。


私にとって日向くんは心の大半を占めているけど


日向くんにとって心の大半を占めているのはきっと私じゃない。



『俺は基本的に自分優先しちゃうからな』


『彼女に時間さくぐらいなら金貯めてどっか行きたいって思っちゃからさ』


日向くんはそういう人。



ましてや私は彼女でも何でもないんだ。


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