王子様の溺愛カメラマン
水梨家の夜
エマ宅とは違いうちはごくごく普通の庶民的な一軒家。


昔は団地住みだったけど、俺が小学生の時に親父が一新発起してローンで買った家だ。






「ただいま―」


いつも靴やら傘やらで散らかっている玄関は、エマを迎える為か綺麗さっぱりしていた。


「エマちゃんいらっしゃい。よく来てくれたわね~」


「おばさま、お久しぶりです。お邪魔します」



うちのオカンは"オバサマ"なんて呼ばれるほど上品じゃね―けど。



「キャンプ場で毎年顔は合わせるけどお宅にお邪魔するのは初めてだよ~」


「んな緊張するような家でも家族でもねぇって」


緊張ぎみにリビングに上がるエマに俺は軽く笑う。



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