王子様の溺愛カメラマン
「エマ~もうちょい自然に」


「は…はい~…」



照明を浴びながら、目の前にはカメラを覗きこむ日向くん。


緊張するなって方が無理だよ~



「エマ、ちょっと笑える?」

「こ…こう?」


私はニィッと笑ってみた。


「う~ん…」


日向くんは困ったように笑うとカメラを覗き込むのを止めてしまった。





ズキッ…

私やっぱり下手くそなんだ…




そう思うと涙が出そうになり、私はシュンと落ち込んだ。


「ごめんなさい…」


「いやいや、エマじゃなくて俺のせいだから」


謝る私に日向くんは悔しそうに頭をかいた。


「俺がエマをもっと自然にしてやらなきゃ駄目なんだ」


「そんなこと…」


「ううん、これはマジだからエマは悪くない」


日向くんは私の頭をポンとやった。


「それにエマ、今日なんか調子わりーだろ?」


「…え?」


「なんか悩みでもあんのかなって、ちょっと気になってたんだ」


「………」


「俺で良ければ聞かせて?」


日向くんの言葉に…私はプルプルと首を振った。







だって…言えないよ。


日向くんが原因だなんて…






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