隣のお兄ちゃん


少年野球をやっていて、土日も練習ばかりの裕くんがある日、


「おじさんたちと一緒に、試合、見に来てね。俺、頑張るからさ!」って、言ってくれたこともあった。 


帽子を目深に被って、ユニフォームを着た裕くんは遠くから見てもすごくかっこよかった。


マウンドから投げる裕くんのボールには魔法がかかってるみたいに、次々と三振を奪っていった。


この頃から裕くんは女の子に人気があった。


私が生まれて初めて、バレンタインにチョコレートをあげたのも裕くんだった。 


まだ幼稚園の頃だから、意味はよく分からなかったけど。


「好きな人や大切な人にあげるものなのよ!ママはパパにあげるけどね」


って、ママから聞いて、真っ先に裕くんが浮かんだの。


それからずっと…


毎年欠かさずあげている。


去年までは――。 



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