隣のお兄ちゃん
小学生のときーー
低学年の頃は、放課後毎日一緒に遊んでいた。
どこへ行くにも一緒で。
まるで、本当の兄弟のように仲がよかった。
裕くんたちお兄ちゃん軍団に交って『ドロ警』(泥棒と警察ごっこ)をやったり、ドッジボールに入れてもらったり。
女の子とシール交換したり、ごっこ遊びをやるよりも何倍も楽しかった。
4年生ぐらいになると、お互い同性の友達を優先し始めて、あんまり遊ばなくなったけど。
そして、中学生になるとーー
今まで「裕くん」「葵」って、気軽に呼び合っていたのに……
「山田先輩」――「神崎」
と、お互い苗字で呼び合うようになっていた。
それだけで、あたしは淋しかった。
だって、裕くんがものすごく遠い人になってしまったような気がしたから。