隣のお兄ちゃん
し・か・も!
生徒会長までしていた。
入学してから本気で驚いた。
目立つことは嫌いなはずの裕くんが生徒会長だなんて!
「先生にお願いされて、裕くん引き受けたらしいわよ。野球部でもキャプテンだし、きっと信頼が厚いのね。さすがだわ!」
昼間、裕くんママから聞いた話を、夕飯のときに興奮して話すママの顔を見ながらあたしは黙々と食べ続けた。
ママも裕くんのことが昔からお気に入りだから、我が子のことのように嬉しそう。
ハンバーグを口に運びながら、あたしはなんかモヤモヤしていた。
だって、あんなにすぐ近くにいた裕くんがものすごく遠い人のように感じてしまって……。
あたしだけの裕くんだと思っていたのに、みんなのヒーローになってしまったから。
まぁ、あたしの勝手な思い込みなんだけど。
すごく淋しかった。