仮病に口止め料

例えば、星野村に旅行をと考えた時、今の俺ならすぐインターネットの検索ワードで調べ、短時間で、しかも一人で解決できてしまう。

昔の俺なら、クラスメートの誰かに聞いて情報を集めたはずだし、誰かと本屋さんや図書館に行ったはずし、詳しい者を人づてに紹介してもらったはずだ。

これら二つの差にどれだけ目に見えない価値があるかを、マドカ高校の七割強は気づいていない。


知識が身につくと同時に人との繋がりを知らず知らずの内に築き上げていた幼い頃の社会の流れは、簡素化された今より絶対良かった。

世の中、俺たち世代はよく嘆かれるが、俺だって心の底からそう思う。

でも、だからって、面倒臭いから、俺は俺らしく今の風潮にただ身を任せるのだけれど。

手の平をカラにして彼女と付き合っていけたらと祈れるなら祈ってみよう。

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