たとえばセカイが沈むとき


 部屋の壁に掛けていたカレンダー。年号は去年のものだった。

「どうなっているんだ」

 毎年掛け変えているカレンダーは、去年のままになどしていない。つまりタイムマシンは、確かに僕を一年前の世界に連れてきている。

 ならばチサトは、何処へ行ってしまったのだろう。

「チサト……」

 名前を口にして、ハッと気付く。

 一年前のあの日、事故に遭っていないのなら、未来──つまり僕が来た世界に、チサトがいる事になるのではないか?

 どこにいるのかはわからないが、未来にいる事は確実であるかに思えた。

 僕は急いで、レイという男の家へと向かった。


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