HONEY*ときどき*BOY
大きい声を掛けられて、思わず振り向いた。



少し小さくなった羽月ちゃんを、まっすぐ見る。



「あたしね、この間この地域の書道大会で入賞したの!
職員室の前にしばらく展示されるみたいだから、時間ある時に見に行ってよ!」


「あぁ……わかった」


「感想、ちゃんと聞かせてね!」



そう言うと、羽月ちゃんは顔の横で手を振った。


毎日のように見てた、眩しいくらいの笑顔がそこにはあった。



その笑顔を向けられる度に、オレは恥ずかしくて、目をそらしちゃうんだけど……



「じゃあね」



手も振らずにそれだけ言って

オレはまた、羽月ちゃんに背を向けた。








羽月ちゃんと別れた後。


何となくそのまま帰る気分にはなれなくて、校舎に向かった。



下駄箱に履いてたスニーカーを入れて、上履きを履く。



校舎に残ってる生徒はほとんどいないみたいで、静かな廊下にはオレの歩く音だけが響いた。



白い廊下を曲がって、広いスペースに出る。



職員室の外にある、掲示板に目を移した。


そこには、どの部活がどの大会に出るとか、どんな成績だったとかが掲示される。



そこに、羽月ちゃんの書いた書道もあるはずだ。





「何で、この字なんだよ……」
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