forget-me-not







陵のあの部屋に、何度か神谷が訪れていたことも。

そのたびにあられもない暴力を受けていたことも。

神谷が大学であんな目にあっていたということも。

それを隠して、必死で私を求めていたことも……。


なにひとつ、知らなかった――。


陵は、恋をしていたのに。きっとそれは初恋だったというのに。

神谷はあんなになるまで追い詰められていたのに。どうして私は気づかなかった。









どうして、私の愛するものはみんな、いなくなってしまうんだろうか。










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