forget-me-not
『ね、リカ。私――夜くんが好き』
週末、私の部屋でリカと二人でDVD鑑賞中。
なんの前触れもなく、どこかぼぅ、としながら私が呟いた。
「そ。てかさ、ディカプリオって、もったいなくない?身長!身長が足りないのよねぇ~。でもいい男~、はぁぁ」
『……は、?』
「あっれ、タイプじゃない?ああ、フウはヘイデン・クリステンセンが好きなんだっけぇ~?」
『あ、のぉ、』
夜くんのことばかり考えていたせいで映画の内容など、ましてやディカプリオのことなど(失礼極まりないが)頭になかった。
それに、私にとっては一大事発言をしたというのに、リカはまったくのスルーである。
『……ね、聞いてた?私のはなし、』
「聞いてたわよー?」
『無反応?笑』
「だぁって、そんなの初めからわかってたことじゃない。フウが鈍すぎて気づくの遅かっただけでしょ」
(…は、ぁ、)
自分のことを自分より的確に分析されているっていうのは、いかがなものなんだろうか。
たしかに、その見解はおおいに当たったわけだけど。