forget-me-not
……どうして、リカにキスしたの?
そういえば時計を忘れたとかいって、私の家の前にリカがいたことがあったけ。
あの時はもう、私の部屋で夜くんとキスしたあとだったんだろうか。
『……』
夜くんがいなくなった部屋。
私は一人ぽつんと床に座っていた。
開け放たれたカーテン。そこから差し込んでいた日も落ち、夕闇が支配する。
それさえも完全になくなると、スーッと青白い月明かりが室内と私の顔を照らした。
『……』
何時間たっても、私が動くことはなかった。
夜くんが言った言葉、私と彼の間に未来はない。
本当にそうなのかな。何をしたって覆せないんだろうか。
夜くんは私と向き合ってくれないけれど、なぜか私を助ける。
(…そんなの、生き地獄じゃない)
期待させて、どん底に突き落とす。
夜くんは最初から掴めない月明かりのような人。