forget-me-not







何故この道を進んできたのか、定かではなかった。

気づいたら足が動いていて、気づいたらここに来ていた。




きっと夜くんと出会ったこの場所へ、もう一度訪れてみたかったから。



マフラーに顔をうずめながら一歩一歩噛みしめるように土を踏んで公園の中へ入っていく。

もう夜くんがいないのはわかっているけど。

それでも、その残像を追うように吸い寄せられる。



(…たしか、この辺りだった)



黒猫が這い出てきた低木の手前、あのとき私が座っていたベンチを発見しておもわず「あ、」と声は漏れた。

一段と冷え込むこの季節に人は少なく、さびしい冷たい風が吹いていた。



(…懐かしいなぁ)



もう何年も前のことのように感じるのは、彼との時間が濃かったからだ。

今まで体験したことのないような出来事と、味わったことのない感情を、夜くんからもらった。



そして私も、






――夜くんに感情をあげることができたのだろうか










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