本気だからねっ！

あたしの話を聞いての第一声がそれだった。


「……なんでそう思うの？」


「だって、好きでもないのに杏乃ちゃんにキスしたんだろ？最低じゃん」


「うん。キスしたのは最低って思った。でも、静原先輩が梨紗先輩を想う気持ち、凄くわかるから。それ聞いたら、キスされたことどうでもよくなっちゃった」


あたしがそう言うと、千歳君は立ち止まった。


「キスされたのに、どうでもいいとか思うの？杏乃ちゃんにとって、キスはどうでもいいものなの？」


千歳君を見ると、彼はとても怖い顔をしていた。


「……千歳君？どうしたの？」


「杏乃ちゃんは、時夜先輩とキスしたこと、嫌だとか思わないの？好きでもない人とキスできるの？」


「千歳君？なんで怒ってるの？なんか変だよ。千歳君」


「………ごめん。しばらく俺と話さないで」


千歳君はそう言うと、走って帰ってしまった。


「………なんで？意味わかんないよ」


あたしは智佳に電話をすると、今までのことを話した。


『……なんか悩んでるっぽいね。いつものとこで会おうか』