それはまるで粉雪のように

―教室―

ー1年3組教室ー

「…………」

美帆が授業を聞いている。いや、ただ自分の席に座っているだけで、授業内容は頭に入っていない。

「……意味分からない」

今の授業、それはもちろん化学。

「ええか~、酸素イオンはO2-や。こいつがナトリウムイオン、つまりNa+と化合するんやから……」

しかしそんな美帆を気にも留めず―むしろそれが普通の教師なのだが―授業を進める、化学教諭米原近江。
美帆の担任でもある。
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