チューリップの王子様

「…カ……ン…」


ボヤッとした意識の中で誰かの声がする


「カノンっ!!」

「ぇ…?!」


体を揺らされ目を覚ます

目の前には心配そうな顔で私を見つめるグレイ様


「大丈夫?凄くうなされてたよ?怖い夢でも見たの?」


夢…?
あぁ…夢だったんだ

…よかった…


「…また、売られる夢を見てました…ちょっと、リアルで…怖かったです」


っと答えた私の声は少し震えていた

すると、グレイ様がいきなり腕を伸ばして来た

そして、私を抱き締めた


「えっ?!ぐ…グレイ様っ?!」

「…体も震えてる…本当に怖い夢だったんだね」


耳元で柔らかく紡がれるグレイ様の言葉

それを聞くだけで、落ち着いていくから不思議だ

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