チューリップの王子様

「ごめんね…カノン…もう、お母様はあなたを守れない…せめて、あなたを守ってくれる人…見つけてあげたかった…」

「お…母様っ」


弱々しいお母様の声が、死期が近いことを示しているようだった


「リーノ…お姉様を…助けてあげてね…あぁ、どうか…幸せになって…私の…可愛い…娘達…」


そう言い切ると、お母様が静かに瞳を閉じた

そして、私とリーノに触れていたお母様の手がパタリと力を無くし、私達から離れた


「お母様…?!」

「っ…お母様ぁ!」


そして
お母様は静かに息を引き取った

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