チューリップの王子様

「カノン…お母様亡くなったの?」


グレイ様の問いに頷く


「お母様が息を引き取った次の日に、私はお父様によって売られました…」


今でも、昨日のことのように思い出せる、冷たいお父様の瞳


「目が赤いだけで…生きていちゃいけないなんて…産まれて来なければ…なんて」


目が赤いだけで、私の全てを否定したお父様の言葉

今でも私を苦しませる


「そんな、馬鹿みたいな話。俺がぶっ壊す」

「…え?」


いきなり、グレイ様が言い出した

驚いて涙も止まる


「目が赤いから、産まれて来なければいい…?そんなの、間違ってる。…ブラッド・アイなんて言葉ごと、俺が潰してやる!」


っと、高らかに宣言したグレイ様はすごく格好よかった

< 72 / 214 >

この作品をシェア

pagetop