秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*
「聞いてんのかコラ」
「じゃあこれからはまお起きれるように頑張る! ひもも結べるように頑張る!」
「起きるのはともかくひもはムリだろ」
「なんで」
「お前が頑張っても腕は伸びねぇ」
「……」
ご、ご最も…。
…い、否! ひょっとしたらこう…ひっぱってたら伸びるかもよ!?
「どんな理屈だ。…もういいから行くぞ」
「はーい…」
自分のとあたしのバイオリンを軽々と背負って、あたしを引っ張っていくかっくん。
なんとも頼もしい…❤
あたし一生ついて行く! この人さえいてくれたらなんでも大丈夫な気がする。
かっくんの背中をじっと見つめながら思った。
「真裕様、楓様! お待ちしておりました。お乗りください」
「野木さんおはよう~。ごめんね」
「とんでもございません。お嬢様の御ためならば、私はいつまでも待っています」
「また大袈裟な」
やーねと笑ってみせたけど、彼の目はなんだか本気。
本当に……優しい人だな…。
「では…かっ飛ばしますゆえ…」
「かっ飛ばす!? 普通にとばすとかじゃなくて…かっ飛ばす…?」
え、何が起こるんだろう。
若干怖いんですが。
ちょっとドキドキしてたけど、そこはさすが野木さん。
怖いことなんて何一つなく“かっ飛ばして”着いた。