パラレルライン
「何か用?」
ほんとはもう怒ってない。
だけど、いざ目の前にすると
やっぱり素直になれない…
「悪かったよ」
月明かりが龍太郎を照らす。
龍太郎は苦笑いをしていた。
「悪かった」
いつもとは違って低くて落ち着いた声が、あたしの耳に残った。
あたしは、尖らせていた唇を元に戻した。
「ごめん、俺、さっき気づいたよ…」
龍太郎が一歩踏み寄って言った。
気づいたって何が…?
龍太郎はあたしがモヤモヤしてるのに
気づいていたっていうの…?
「大原………」
あたしは唾を飲み込んだ。
なぜか妙に緊張する…