ゆめ
「そうよっ!…っ」
溢れ出た思いを健太に投げつけて、泣き崩れた私を健太は、大きな心と体で私をそっと包み込んでくれた。
「…ごめんね」
「なんで謝るの?」
「だって…私もう」
「むしろ俺のほうがごめん。ちゃんと気づかなくて…。ずっとひとりで抱えてたんだな…」
「言う…勇気がなかったのよ。もしかしたら別れることになるかもって…」
「なんで?そんなことで別れるわけないだろ!」
「そんなことってまた言った!」
「あ、ちが…そうだよ、そんなことだよ!俺にとっちゃそんなことより亜紗子のことが心配だ…。体、大丈夫なのか?」
「…うん。今のところ…」
「そっか。じゃあよかった!」
「健太…」
それを聞いてホッとしてぎゅっとしてくれる健太…
私の夢だった、平凡な女の幸せに、自分の子供に会うことは叶わないけれど実は私、
夢は叶っていたんだってやっと気づいた。