ゆめ
「交番にも尋ね回った。迷子はいないって…。お義母さんたちの記憶にもゆめはいない。ゆめは幻だった…本当は元々居なかったんだってわかってるけど…」
「居たよ」
「え!?」
健太にリボンを見せた。
「実家の裏庭に落ちてたの。ゆめは確かに居たんだよ」
「…じゃあ」
「ゆめは神様からのプレゼントだった。絶望している私へ…」
「亜紗子…?」
「健太…、話したいことがある」
ゆめが居て、夢のような幸せな時間でうやむやにしていた現実…
ついに健太に話した。体のこと…
「……………」
「…なんとなくはわかってたよ」
「…え?」
「亜紗子が何か悩んでることは。でもそんなこととは…」
「そんなことって…、大事なことじゃない!健太、子供ほしくないの?親に孫見せられんの私しかいないんだよ!すんごい見たがってるのよ!私言われるたびにどれだけつらいか…っ」
「ご、ごめん、そういう意味じゃなくて…ごめん、言葉が悪かった!」