心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
「―――永遠!」
「うん?」
振り返ると、雅が私のところへ走ってくる。
びっくりして思わず固まる。
だってこの頃、雅とはまったくと言っていいほど喋んなかったし。
…私が避けてただけなんだけど。
「…ハァ……ハァ…」
目の前で息を整える雅を見つめる。
なに?なんなの?
「…ハァ……やっと」
「え?」
「やっと、捕まえた」
そう言うやいなや、私の右手首をぎゅっと掴む。
そりゃもう痛いくらいに。
「は?え、何?」
意味が分からなくて、振りほどくことを忘れる。
「……お前、避けすぎ」
「…………あ」
やっぱり、分かったか。
「――――…かった」
雅が何かをボソッと呟く。
「え?」
もうちょっとよく聞こうと、一歩前に進むと、その瞬間一気に雅に引き寄せられた。
「寂しいかった……!」
抱きしめられながら泣きそうな声でそう言われて胸がズキッと痛む。
「……ごめ」
「もう、すんな」
「………うん」
たまに、あるんだ。
雅が物凄く、弱くなっちゃうこと。
…たぶん、私しか知らない。
いつもは雅はかなり自信満々な俺様だもん。
けどそれはきっと、弱さを隠すためだから。