心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー
「あ、のさ!」
バッと顔を上げて、勢いで雅を見る。
そのとたん、思わず泣きたくなって、目の前の雅に縋りたくなったけれど、下唇を噛んで、無理やり笑顔を作った。
「どーした?」
そんなあたしを変わらず優しく見てくれる雅。
…バカじゃん。
言えるわけないじゃん…。
こんなに大切で大好きな雅に
“縁、切ろう”なんて。
“関わらないで”なんて。
「……言えない…」
「ん?なにが?」
「あ、えっと…あのさ」
「なに?」
「きょ、今日は…もう帰るね!」
「は?」
そう言うが早いが、あたしは立ち上がり
「じゃあね!」
そう言って、屋上を飛び出した。