さもありなん
「ふ」

「ちょっと」

「はい」

「今想像して笑ったでしょ」

「あはは、バレましたか。でも似合いますよ、ピンク」

「うるさい」

くせ毛なのか、緩いカーブを持つ黒髪を耳にかけながら、
不機嫌そうに唇を少し突き出した彼女にドキリとする。

彼女はたまにこういう表情をする。

普段は大人びている彼女の、
時々見せる子供っぽいそれのギャップにひどくドキリとする。

「それに」

「ん?」

「…春って、何か変わろうって思ったりするでしょ。
嫌なの、そういうの」


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