さもありなん


「勿体ないなぁ司」

「何が?」

「恋、してみなよ」

「相手いないんだもん」

「司が変人だからじゃん?」

何それ、と反抗しようとしたものの、
はい、と差し出されたプラスチックのスプーンに乗った、
甘いプリンにその言葉を飲み込んで、うーむと唸るだけだった。

制服でデート、というのは少し憧れた。

手をつないだり、
こっそりキスをしたり、
そんな甘酸っぱさで詰まっているように見えたから。

残念ながら時間は待ってはくれなくて、
気付けば桜のつぼみが膨らむ中、

自分の名前が体育館に響く季節となってしまったんだけれども。



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