さもありなん
「カップル多いね」

「……そう、ですね」

「私たちもそう見えるのかなぁ。
あ、もしかして緊張してる?」

「してません」

してません、ともう一度繰り返して、悪戯っぽく笑う彼女を無視すると視線を外に向ける。
緊張するに決まっているじゃないか。
今だってバスの席は思ったよりも狭くて、顔が赤くなるのを隠そうとしているというのに。

「気になってたんだけどね、永田さんって」

「はい」

「…今まで彼女とこういう場所に行ったりした?」

「……はい」

急な彼女の質問に少し間をおいてしまったものの、正直に答えれば彼女が驚いたように目を見開いた。




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