さもありなん
「何で別れたの?」

「……」

彼女はストレートに物を聞く。
きっと無意識なんだろうけれど。

前に付き合っていた彼女。

ふわふわした茶色い長い髪がよく似合って、色が白かった。

自分には勿体ないくらい可愛い人で、幸せだったはずだったのだけれど。

「……僕の、せいですよ」

「浮気したの?」

「まさか」

そんなことはしませんよ。と断って、ふぅ、と息を吐く。

「縛りつけないようにしたら、それが裏目になってしまったようで」

「うん」

「…僕よりもっと素敵な人と一緒になりましたよ」

「…ごめんなさい」

少し低くなってしまった声のトーンに何かを感じたのか、
めずらしく彼女が塩らしく謝った。

「随分前のことですから。気にしないでください」

彼女の頭を軽く撫でればもう一度「ごめんなさい」と小さく聞こえた。

バスの窓の外では雨が降り出していた。

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