さもありなん
「でも、いいなぁ…」
「え?」
「好きな人がいたこと、無いから」
窓の外を見ながら彼女がつぶやく。
ポツポツと窓を叩き始めた雨に、
ずいぶんと早いじゃないかと思いながらも
彼女の話を聞く。
「私ってさぁ、変なのかなぁ」
「そりゃあ…普通とは言えませんよね」
「…ひどくない?」
「聞いたの司さんですからね」
「あう」
前の座席にごつんとおでこをぶつけて
こちらを見る司さんに笑う。
「でも、それが司さんのいいところだと思いますよ」
「…ナイスフォロー」
「あはは」