ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
「ふーん、何て言うの?」


「アルバム名? 『リボルバー』だよ」


「リボルバー?」


「うん、回転式拳銃のこと」


「へー、リボルバーか……」


そう言った彼女は、拳銃を構えるポーズを取り僕へと狙いを定める。

僕は息を呑んだ。

彼女のその白い手には、妖しい光を放つ黒いリボルバーが握られていた。


「撃っても良い?」彼女が言う。


彼女の瞳を見る。


僕が映っていた。


僕の瞳には彼女が映っていただろう。


それだけで良かった。


彼女を見る僕を、彼女が見ている――これ以上、何を望むと言うのだろう。

本気でそう思えた。
< 55 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop