この世界は残酷なほど美しい


部活動に力を入れる生徒たちで賑わうグラウンドを二人肩を並べて歩いていく。

僕と奈緒子の距離は1メートル未満。
でも心の距離は1メートル、1キロ…ううん、それ以上に離れていた。



奈緒子はどうして僕に関わろうとするのだろう。
今まであまり話したこと無かったのに。
僕が野中を殴ったあの日から奈緒子は僕に構うようになった。

なぜ?理由はなに?
頭ひとつ分身長差がある奈緒子を見下ろす。
長い睫毛が頬に影を作っていた。


奈緒子が僕を好き?
そういえばずっと前から好きだったと言っていたな。




「あのさ、奈緒子。奈緒子は僕をいつから好きだったの?」




「きっと言っても流星くんは覚えていないだろうから。」




クスッと笑って僕の質問はそこで終了した。

ますます分からないよ。
覚えていないくらいずっと昔ということ?


だって僕たちが出逢ったのは入学式じゃないか。
それより昔?

そんなはずはない。



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