この世界は残酷なほど美しい


僕にこう言われた彼はただうつむいて黙ってしまった。
ヤバイ、言いすぎたかな。
すると花音が彼に歩み寄った。


「ごめん、あたし蓮が世界一好きだから。もし蓮があたしのことを嫌いになってもあたしはずっとずっと好きなままだと思う。もう逢いに来ないで」



花音の言葉を浴びせられた彼はその場を逃げるかのように去って行った。
僕は花音の頭をぽんっと触る。花音は涙の溜まった瞳で僕を見る。
そして小さな声で「ありがとう」と言った。



だってさ、待ち受け画面の二人を見たらずっと続いて欲しいと思ったんだ。
こんな可愛らしくてお似合いなカップルは世界中探してもいないんじゃないかな。
って大袈裟かもしれないけど僕はそう思っているよ。




「僕、行かなきゃ!」



「えっ!ちょっと流星!」
「流星くん!!」



僕はあることを思い出した。
遠くから奈緒子と花音の声が聞こえてくる。



どうしても確かめたかった。



蓮の気持ちを。
やっぱり僕には蓮が必要だ。
ずっとずっと親友でいたい。

溜め込んだ何かを聞いてあげたい。


蓮は僕の理想だった。
僕も蓮のように誰かを愛したかった。



だから、蓮。
もういいんだよ。



蓮は自分が幸せになることを願ってもいいんだよ。





< 111 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop