この世界は残酷なほど美しい
その笑顔が僕の憧れている笑顔だった。
こんなにも自然に綺麗な笑顔を見たのは初めてだった。
やはり彼が病気を抱えてるなんて信じられない。
きっとお兄さんは勘違いをしているんだ、きっとそうなんだ。
「明日から行くから莉子に逢えたらいいなって思って来たんだけどやっぱり逢えなかった。しょうがないよな。運命ってそんな簡単にできてるわけじゃないってこと、学んだよ」
「でも……莉子は」
莉子は前に僕に言った。
“好きな人には逢わないの?”
“逢わないよ。また逢えるって信じてるから”
「またあなたに逢えるって信じています。」
太陽が完全に沈む頃、僕に進むべき道を与えてくれるのは暗闇に光る月だけだった。
明るかった道を黒色に支配していく。
だけどこの色が無いと僕たちは生きていけないのだ。
「莉子は…ずっとずっとあなたを想ってます!僕に色々教えてくれた。流れ星の意味、好きっていう感情、人生の意味。莉子は………」
僕はこの恋が実るなんてそんな自信はどこにも無かった。