この世界は残酷なほど美しい


きっとさ、美羽は星になったんだ。
よく夜空を見上げていたし、「生まれ変わったら星になりたい」と言っていたから。



美羽が息を引き取ったあと俺は屋上に向かった。
美羽が星になる瞬間を見てみたかったから。



「美羽の星が一番綺麗だよね…」



するとポケットの中の携帯電話が震えだした。
液晶画面に映る文字は“ヒカル”だった。




『お前、どこにいるんだ?美羽が…』




……知っているよ。



「今…病院の屋上。」



蒼い空を見上げる。
今日は雲ひとつない快晴だった。



『屋上?んなとこで何してんだよ!早く美羽のとこ行けよ!もう逢えなくなるかもしれないんだぞ!!』




逢えなくなるのは分かっているよ。
でも俺が美羽との想い出を消さない限り、美羽は俺の中で生きていくんだ。



「…美羽と約束したんだ」



『何を?』




約束…したよね。




「…美羽は俺のために生きてくれるって」




人生の意味を覚えてますか?
人のために生きるから人生。

俺は美羽のために生きるって誓ったんだ。




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