この世界は残酷なほど美しい


授業中、ふと莉子を見ると莉子は真剣に授業を聞いていた。
そんな莉子が自然で可愛くてついつい笑ってしまった。


異変に気づく。
何で今僕は笑ったのだろう?
莉子を見ただけでなぜだ?
こんなこと異性を見てもなったことないのに。


…ちょっとおかしいのかな。
風邪?貧血?腹痛?そんなわけがない。
だって僕はどこも異常がない。

視線を外して再び莉子を見る。すると莉子は眠たいのか、こくっとしていた。
そんな姿を見たら笑わずにはいられない。

そして優しい空気が僕を包んだ。
それはきっと莉子から溢れる空気だと思った。




…夕暮れ時の教室。
莉子は僕に「バイバイ」と言って帰っていった。
僕は荷物の片付けをし、席を立つと奈緒子がこちらに向かって歩いてきた。



「流星くん、一緒に帰ろう?」


「うん、いいよ。帰ろうか」




ちょうど良かった。
蓮もいないし、さっき携帯見たら花音から「早退する」とメールが入っていたから。




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