この世界は残酷なほど美しい
夕暮れ色に染まったグラウンドを奈緒子と肩を並べて歩いていく。
「ねぇ、奈緒子。好きってどういうことなの?僕、分からなくてさ。」
突然僕からこんなことを聞かれたからか奈緒子は目を丸くしてこちらを見た。
そして奈緒子の頬や耳が夕暮れ色と同じ色に染まっていく。
「好きっていうのは…、一日中その人のこと考えたり…話しかけたり…ドキドキすること…かな。さっき別れたばかりなのにまた逢いたくなるとか…」
「ふぅん…そっか。そうなんだ」
奈緒子の好きは莉子の好きとは少し違う。
人それぞれ、好きという感じ方が違うのか。
何だか難しいな。
「流星くん…誰かのこと好きになったの?」
次に目を丸くなったのは僕だった。
奈緒子からの突然の質問に戸惑ってしまう。
好きってなに?と今まで考えた僕が誰かを好きになるなんて…そんなわけ…
すると何かが脳裏に浮かんだ。
それは僕を見て笑う…
莉子だった。