パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「え?・・・でも・・・」



「そっか?やってくれる?いやぁ、助かるよ。良かった。良かった」



奈桜の言葉に重ねるように碧が大きな声で言う。
『そういう事か・・・』と、鈍い奈桜はようやくこの企みを理解する。



「でも、そういう訳には・・・。こちらだけで勝手に交代出来ません。それに心さん、仕事は?」



「石田さん、大丈夫。今日はオレ、オフだから。話、つけて来て。その間にタクシー捕まえるから」



心は優しく微笑みながらそう言うと、奈桜を抱えて歩き出す。
碧はすでにスタッフの待つ中へと消えていた。




「悪いな。せっかくの休み」



「そうだよ。スタイリストのゆみちゃんとデートの約束してたのにさ」



「それは余計に悪かったな」



奈桜が笑って心を見る。



「だからさ、しっかりやってくれ。真っ直ぐ大切なものだけ見てさ。今の奈桜、妨害が多いんだよ。それに心奪われたら終わり。彼女の事、本気で好きなら・・・絶対、掴んどけ。今お前の心にいる人は、運命の人だ」



そう言ってドンッと奈桜を向こうへ突き飛ばした。
心にはまた何か見えているが、それ以上は言えない。
それは自分で感じるコト。



「負けるな」



走って行く奈桜の後姿に祈るように呟いた。

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