パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「梓・・・」



何とかしたい。
何とかしたい。
が、事務所相手ではどうにも出来ないのが現状だろう。
いちタレントが口出しする事ではない。
でも、このまま梓が他の男に取られて行くのを黙って見てもいられない。
自分の無力さに苛立ちが募る。



「世の中、金じゃない・・・はずだよな」



このマンションを売ったって、事務所にお金を借りたって、10億なんて作れない。
ため息が漏れた時、携帯が鳴った。
泉だ。




「今、大丈夫か?」



「うん。今日はありがとう」



「大した事してないよ。それより、奈桜、大丈夫か?アイツ、青山って男、会見で結構な事を言ってたからさ。梓さん、参ってなかったか?」



「あぁ、まぁ、何とか大丈夫。・・・考えてもさ、答えが出ないんだよ。梓の事務所が絡んでるし、オレでは何も出来ない」



夜のせいかやっぱりポロッと弱音を吐いてしまう。

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