パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「それは・・・」



奈桜が少し体を起こして顔を上げた。



「お前が頑張っている事は誰もが認めている。私もだ。だから、お前の言う事もたまには聞いてやる。まぁ、お前の願いはいつも大き過ぎて厄介だがな」



「ありがとうございます!!」




奈桜はまた勢いよく頭を下げた。
安堵の気持ちから、目の中に温かいものが込み上げて来る。
顔を上げる前にそれをさりげなく拭うと、きりっと引き締まった表情になった。



「あとの事はこちらに任せて下さい。くれぐれもマスコミには気を付けて下さい。青山さん側が何を仕掛けて来るか分かりませんから」



さすがに木下も青山柊と梓との関係は知っているようだ。
ここからは事務所に任せた方がいいだろう。
奈桜の抱えていたものが、ひとつずつ無くなって行く。
それは無くなると言うより、誰かが肩代わりしてくれているというのが正しいかもしれない。
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