パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「えっ?」



泉が驚いた声を出す。



奈桜は小さなため息をついて下を向いた。



「オレだろ?事務所はオレを封じたかったんだろ?碧にかこつけて実の狙いはオレだったんだ」



泉の大きな丸い目がグッと一気に見開いて奈桜を見る。
賢い泉には事務所の考えくらい読めていた。
事務所にしてみれば一石二鳥。



ただ、泉が驚いたのはその事をグループ1、鈍い奈桜が気付いていた事だった。



「そんな事ある訳ないだろ?何で今さら奈桜を封じるんだよ。気にし過ぎだって。しっかりしてるからだよ。深読みすんなって」



励まそうと必死に言う。



「じゃあ聞くけど、Zで誰が1番しっかりしてる?誰が仕切ってる?」



「それは……」



聞かれてちょっと口ごもる。
確かに、正直に言えば他のメンバーの名前が浮かぶ。



「ほら…」



「ほらじゃないだろ?何、すねてんだよ。部分的に見れば…そうかもしれないけど、トータルで見たら奈桜だよ。ダントツ奈桜。オレたちも支えるからさ。事務所の事はどっか置いとけよ。気にするだけ損だって。もし、もし、本当に狙いがそうだとしてもそれが何だよ。だからって、それで人を好きになるのを諦めるのか?好きな人に会うのを我慢出来るのか?」



言ってるうちについ力が入ってしまった泉は気付けば奈桜に詰め寄っていた。

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