俺様王子の秘密
驚いているのを見る限り、こう言う経験は浅そうだ。

マジヤバい。そういう奴見てると、いじめたくなっちゃうんだよね……。

「悪ぃリコ。今日はここまで」

キスしていた女――リコにそう告げると、リコはまだ足りないという風に、口を尖らせて反論してきた。

「えぇ〜? 悠斗、ダメぇ?」

「またおいで? その時に続きしてあげる」

面倒臭くなって来たので、満面の笑みを浮かべて言うと、リコは素っ気なく引き下がる。

「んー。わかった」

リコが出て行ったのを確認し、俺は彼女のほうへ近づいた。

「ご、ごめんなさい!! あの、このこと誰にも言いませんから! それと、今後一切、邪魔もしませんし……」

ありゃりゃ……。謝っちゃって、カーワイイ♪
でも、俺がそう簡単に許す訳ない。

ジリジリと距離を詰める俺。
それに比例して、後ずさる彼女。

よっぽど驚いたのか、彼女は両手を顔の前で合わせて、頭まで下げちゃってる。

俺、神様じゃないんだけど。

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