俺様王子の秘密
面白くなって来た俺は、彼女のほうへと歩を進める。

「はぁ? 人のキスシーンのぞき見といて、ごめんなさいで済むと思ってんの?」

彼女の顔を覗き込みながら言うと、彼女は首を傾げながら俺を見つめる。

「へ?」

ヤッベー。本当、いじめたい……。

「ただで済む訳無いってこと。許してほしかったら……」

「ちょっ!?」

目を丸くして驚く彼女。それもそのはず。

だって俺は、さっきリコにやったことを、彼女にやってみせたんだから。

彼女の唇を塞いだ。自分の唇で。

「黙んないと、舌入れるよ」

少しだけ低い声でささやくと、彼女は黙った。
うわー。すっげー面白い!! こんなの、すげー久しぶりかも……。

「やめ……」

彼女が、俺の胸を軽く押して抵抗してくる。だけど、その抵抗も結局は無意味で。
いくら俺でも男。女一人の力で、男の俺に勝てるわけない。

抵抗する彼女とは裏腹に、拒めは拒むほど、俺はキスを深くする。

そして、唇をそっと離す。

顔を真っ赤にし、肩で息をする彼女がとても愛おしく見えて、またイジワルをしたくなる俺。

彼女のネクタイを少しだけ緩め、悪魔のような微笑みを彼女に向けた。
彼女は、一瞬こわばったように見えたけど、そんなの関係ない。
俺は、構わず言葉を紡ぐ。

「許してほしいなら、カラダで訴えなきゃ。ね?」
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