俺様王子の秘密
「次どっち?」
「……右」
そして今、悠斗に肩を貸しながら、悠斗宅に移動中。
悠斗はさっきよりの息が荒くなって来て、あたしの質問に答えるのにも、だいぶ時間がかかるようになってきた。
「次は?」
「ここ」
「へ?」
「ここの……10階」
目の前に立つのは、金持ちが住んでそうな高級マンション。
見ただけで、50階ぐらいありそうな気が……。
「すごっ……」
「ボケッとしてないで連れてけ……!」
ムカッ!
こいつ、病人の肩書をうまく使ってるし!! ホントムカつく!!
「鍵出して」
「カバン」
悠斗の部屋の前まで来たあたし。
鍵がかかっていては入れないから、鍵を出せって言ったら、カバンから取れと返された。
鍵ぐらい取れんだろ!!
「お、お邪魔しまーす」
結局、カバンから鍵まで取ることになったあたしは、何とか悠斗の家(部屋)まで辿り着いた。
「悠斗、着いたよ?」
「……サンキュ」
一言そう告げると、悠斗はソファに突っ伏した。
もう一度額に触れると、やっぱりまだ熱くて。
「体温計……」
イケない事だと思いつつも、心配で勝手に体温計を探し始めた。