俺様王子の秘密
「どこにあんのよ」
体温計を探し始めて15分……。
いまだに体温計が見つからない。体温計相手に苦戦するあたしって、将来やっていけるんだろうか……?
そんな事を思いながら、ちらりと悠斗のほうに目をやる。
さっき突っ伏してからずっと眠っている悠斗。
それでも、流れ出る汗は止まらなくて。探している間も、何度か汗を拭った。
荒い息遣いはまだ治まらない。辛そうな顔してる……。
「あ」
保険証などが閉まってあった棚に、隠れるようにしまってあった体温計。
「あったー!!」
こんなところにいたのね……。
悠斗のところへ行って、ネクタイを緩める。
待てよ。これ、ちょっとヤバくない?
いくら熱を計ると言っても、あたし達は健全な高校1年生。
もしここで悠斗が起きたりなんかしたら……
妄想しかけた脳を思考停止させるあたし。
なに考えてんの!? バカみたいだって……。
「あ、あれだからね! 熱計るために、仕方なくやってるって言うか……。お願いだから、起きないでよ」
聞いてるわけでもないのに、悠斗に言い聞かせているように言うあたし。
はぁ、ホント、なに考えてるんだろう……。