俺様王子の秘密

背の高い悠斗は、女子に囲まれていても目立っていて(男子が一人しかいないんだから当たり前なんだけど)。

カッコイイなぁなんて、思ってしまう。

「緩奈〜? 顔が赤いっすよ?」

「う、うるさい!!」

茶化す美保を軽く睨んで、悠斗のほうに目を向ける。

明らかにうんざりしてる悠斗の顔。
なのに周りは……

「悠斗くん、今日もクールでカッコイイ〜!」
「悠斗〜!! こっち向いて〜」

騒がしい……。

あたしに気付いてない悠斗。刹那、悠斗とパチリと視線が合う。

げっ……。

こっちに向かって歩いてくる悠斗。
周りからの視線が痛い……。

「よっ」

目の前まで来た悠斗は、昨日と同じく小悪魔な笑みを浮かべ、あたしに話しかけてくる。

「お、おはよーございまする……」

「なにその日本語」

ぎこちない日本語を話すあたしを、顔を引きつらせて見つめる悠斗。
それに平行して、周りからの視線も、徐々に鋭くなって来た。

「昨日は楽しかったね☆」

な、なんですとー!?

笑顔を浮かべそう言う悠斗。
こいつ、昨日とまったく別人じゃねーか!!

ヤバいよ〜……。だって、もう視線が痛い……。

「か、勘違いされるようなこと言わないでっ!!」

「なんで? キスした仲じゃん」

首を傾げてそう言う悠斗。
か、可愛い……って、ちがーう!!

「「きゃーーー!!」」

いきなり騒がしくなった教室。

悠斗の勝手な言動(一部事実も含む)に、泣いたり怒ったりショックで立ち尽くしたりする取り巻きの女子たち。

それとは別に、驚いたり楽しんだり、周りと笑ったりしてるその他のクラスメイト。

まさに、喜怒哀楽って感じ。

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